奈良市福祉事務所
生活保護とは
生活保護は、高齢や病気などによって生活に困窮し、ほかにとり得る方法がないときに、国がその困窮の程度に応じて必要な保護を行い、自立に向けた援助を行う制度のことをいいます。
いわゆる貧困ビジネスと生活保護
生活保護受給者のような生活に困窮している人を対象とした、搾取的なビジネスの存在が全国的な問題となっています。
こうしたいわゆる貧困ビジネスの類型としては、生活保護受給者に簡易宿泊所を提供するもの、受給者にかわって預金通帳の管理を行うもの、掃除や洗濯などの家事サービスを継続的に提供するものなどがあり、一見すると便利なように見えながら、その実態は受給者を劣悪な環境に置いて自立の機会を奪い、保護費を搾取するだけとなっています。
それぞれの自治体でも貧困ビジネスへの対応を講じてきており、たとえば「さいたま市被保護者等住居・生活・金銭管理サービス提供事業の業務の適正化等に関する条例」では、宿泊所を提供する際の床面積の基準や契約時の説明義務などを定めるとともに、市による指導、立入調査、事業の停止命令、業者名の公表などの対抗措置についても定めています。
保護費の返還について
生活保護として受けた金銭については、原則として返還する必要はありませんが、場合によって、返還を求められることがないわけではありません。
保有している不動産を売却したり、生命保険を解約するなどして収入を得た場合や、過去に遡って年金や手当を受給した場合には、資産がありながら保護を受けたもとのみなされ、すでに支給した保護費であっても、福祉事務所に返還しなければならないことがあります。
また、就労収入などの申告を怠ったり、不正な手段により保護を受けた場合にも、保護費の返還を求められるだけではなく、場合によっては懲役、罰金などの刑罰が科せられることがあります。
奈良市福祉事務所の電話番号・所在地
名称 | 奈良市福祉事務所 |
---|---|
所在地 |
〒630-8580 奈良県奈良県奈良市二条大路南1-1-1 |
電話番号 | 0742-34-1111 |
備考 |
生活保護費の計算方法
奈良県奈良市にお住まいの場合、級地としては「2級地-1」に該当しますので、生活保護基準は以下のとおりとなります。
※注意
前回指定から約30年が経過し、この間に市町村の広域合併が進んだ結果、現行の級地は物価などの実態を必ずしも反映していないという理由から、目下、厚生労働省では級地見直しの作業を進めています。
この級地指定とともに、厚生労働省では生活保護基準そのものの見直しを平成30年10月をめどに決定する見通しですので、新聞・テレビの報道には十分注意してください。
なお、生活保護費見直しは平成30年10月、平成31年10月、平成32年10月の3段階で実施される予定です。
現在議論されている見直しの例
児童養育加算
現行:月1万円(3歳未満1.5万円)で中学生まで/見直し後:月1万円で高校生まで
母子加算
現行:母と子ども1人の場合で平均月額約2.1万円/見直し後:平均月1.7万円【減額】
生活扶助
生活扶助のうち、食費や被服費などの個人単位の経費の見積もりにあたる第1類費は、生活保護を受給する世帯に属する人の年齢をもとに、世帯としての基準額①の合計、基準額②の合計をそれぞれ求めます。
年齢区分 | 生活扶助基準(第1類費)(個人的経費) | |
---|---|---|
基準額① | 基準額② | |
0歳~2歳 | 19,570円 | 24,100円 |
3歳~5歳 | 24,680円 | 27,090円 |
6歳~11歳 | 31,900円 | 31,090円 |
12歳~19歳 | 39,400円 | 35,410円 |
20歳~40歳 | 37,710円 | 34,740円 |
41歳~59歳 | 35,750円 | 35,570円 |
60歳~69歳 | 33,800円 | 35,230円 |
70歳~ | 30,280円 | 30,580円 |
世帯の人数に応じた逓減率を、第1類費の基準額①の合計、基準額②の合計にそれぞれ乗じます。
世帯の人数が多ければ、効率的にお金を使う生活ができるため、その分だけ基準額を減額する趣旨です。
世帯人数 | 逓減率① | 逓減率② |
---|---|---|
1人 | 1.0000 | 1.0000 |
2人 | 1.0000 | 0.8850 |
3人 | 1.0000 | 0.8350 |
4人 | 0.9500 | 0.7675 |
5人 | 0.9000 | 0.7140 |
第2類費は、電気、ガス、水道などの光熱費や家具、食器の費用などといった、世帯単位で支出される経費です。
このため、第1類費とは逆に、世帯人数に応じてその額が増加するようになっています。
逓減率を乗じた後の第1類費の合計に、この第2類費をプラスします。
なお、地域によって冬場の寒さが違い、暖房費の需要も違うということに配慮して、冬季(10月又は11月~3月又は4月)には地域別(全国Ⅰ地域~Ⅵ地域の6区分)の冬季加算が別途加算されます。
世帯人数 | 生活扶助基準(第2類費)(世帯共通的経費) | |
---|---|---|
基準額① | 基準額② | |
1人 | 40,670円 | 36,880円 |
2人 | 45,010円 | 45,360円 |
3人 | 49,900円 | 53,480円 |
4人 | 51,660円 | 55,690円 |
5人 | 52,070円 | 59,370円 |
以上によって得られた「第1類費・第2類費①」の合計に3分の0を乗じ、「第1類費・第2類費②」の合計に3分の3を乗じて、両者をプラスしたものが生活扶助基準となります。
ただし、「第1類費・第2類費②」が「第1類費・第2類費①」×0.9よりも少ない場合は、「第1類費・第2類費①×0.9」と読み替えることになっています。
加算制度
さらに、特別の需要のある人が必要とする生活費としての加算制度があり、第1類費、第2類費のほかに、次のように一定額を上積みすることができます。
ただし、「障害者加算」と「母子世帯加算」のように併給できないものもあります。
- 放射線障害者加算
- 原爆放射能による負傷、疾病の状態にある人などについての特別な需要に対応
- 在宅患者加算
- 在宅の傷病者で栄養補給を必要とする人のための特別な需要に対応
教育扶助
小学校、中学校に通う児童生徒が義務教育を受ける場合の扶助として、月額によって次の表のような基準額にもとづく支給があるほか、学級費、教材費、給食費、交通費などが別途支給されます。
なお、高等学校については義務教育ではないため、「生業扶助」と呼ばれる別のグループの扶助での対応となります。
教育扶助基準 | ||
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区分 | 内容 | 基準額 |
基準額 | 学用品:鉛筆、ノート、消しゴム、体育用靴、笛、裁縫道具、書道用具など その他の教育費:遠足、社会見学等の校外活動費及び通学用靴、上履き等の通学用品購入費 | 小学校:2,210円 中学校:4,290円 |
特別基準 (学級費等) | 学級費、児童会又は生徒会費及びPTA会費等 | 小学校:670円以内 中学校:750円以内 |
学習支援費 | 学習参考書(教材代を除く)購入費、課外クラブ活動費 | 小学校:2,630円 中学校:4,450円 |
教材代・学校給食費・校外活動参加費・通学交通費 | 副読本、ワークブック、辞書等の購入費、校外活動のための宿泊費や施設利用料、通学に必要な最小限度の交通費等 | 実費支給 |
その他の扶助
これらのほかに、診療にかかった医療費の平均月額をもって基準とする「医療扶助」などのメニューごとに一定額が加算され、最終的な「最低生活費認定額」が割り出されます。
- 出産扶助
- 出産をするときの扶助。たとえば、級地問わず施設分娩であれば293,000円以内。その他入院料の実費相当の加算額や、出産予定日の急変の場合の特別基準などがある。
- 葬祭扶助
- 生活保護世帯の家族が亡くなった場合の火葬などを行うための扶助。たとえば、1・2級地は大人206,000円以内、3級地は180,300円以内。
(上記は平成30年度分に準拠していますので、年度によって金額が異なることがあります。)