倉敷市児島社会福祉事務所
生活保護とは
生活保護は、生活に困窮する人に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的として、保護費の支給などを行うための制度です。
職員のミスで生活保護費が増えた場合の返還決定
生活保護費は通常は福祉事務所長が決定事務を司っていますが、もしも福祉事務所の職員のミスで生活保護費の金額が本来よりも多くなってしまった場合であっても、後から本来の金額との差額全額の返還を求められることがあります。
ただし、厚生労働省の通達によれば、全額返還によって受給者の「自立が著しく阻害されると認められる場合」には、社会通念上容認される金額を差し引いて返還を求めること、要するに全額ではなくてもかまわない旨の記載がありますので、場合によっては福祉事務所に相談の上で、減額してもらえる余地はあります。
これに関連して、福祉事務所の職員の過誤により過支給となった生活保護費の全額返還決定が裁量権の逸脱で違法とされた東京地方裁判所の判例(平成27(行ウ)625)もありますので、たとえばすでに保護費を知らぬままに使い切ってしまい、後から福祉事務所に多額の返還を要求されて困っている場合などには、各都道府県の法テラスの事務所、または弁護士会の無料法律相談を受けるなどして、法的な解決を図る方法もあり得ます。
生活保護法78条徴収金について
生活保護についてのさまざまな決まりごとは生活保護法とよばれる法律のなかに規定されています。
生活保護法第78条では、「不実の申請その他不正な手段により保護を受け」た場合の徴収金が定められていますが、これはたとえば株取引などで多額の収入があるのにもかかわらず、会社に勤めていないので収入がないと偽って、生活保護費を不正受給するようなケースが考えられます。
このような場合には、すでに不正受給した生活保護費の全額を返還しなければならないのみならず、この返還金にプラスして、返還金額の40パーセント以下の金額が加算金として徴収されることがあります。
なお、この78条徴収金は過去の法律の改正で国税の滞納処分の例によることができる強制徴収債権となっています。
要するに、もしも支払いを拒否した場合には、所得税などの税金を滞納した場合と同様に、財産の差押えや競売などの強制的な方法で取り立てられる可能性があることを意味しています。
倉敷市児島社会福祉事務所の電話番号・所在地
名称 | 倉敷市児島社会福祉事務所 |
---|---|
所在地 |
〒711-8565 岡山県岡山県倉敷市児島小川町3681-3 |
電話番号 | 086-473-1119 |
備考 |
生活保護費の計算方法
岡山県倉敷市にお住まいの場合、級地としては「1級地-2」に該当しますので、生活保護基準は以下のとおりとなります。
※注意
前回指定から約30年が経過し、この間に市町村の広域合併が進んだ結果、現行の級地は物価などの実態を必ずしも反映していないという理由から、目下、厚生労働省では級地見直しの作業を進めています。
この級地指定とともに、厚生労働省では生活保護基準そのものの見直しを平成30年10月をめどに決定する見通しですので、新聞・テレビの報道には十分注意してください。
なお、生活保護費見直しは平成30年10月、平成31年10月、平成32年10月の3段階で実施される予定です。
現在議論されている見直しの例
児童養育加算
現行:月1万円(3歳未満1.5万円)で中学生まで/見直し後:月1万円で高校生まで
母子加算
現行:母と子ども1人の場合で平均月額約2.1万円/見直し後:平均月1.7万円【減額】
生活扶助
生活扶助のうち、食費や被服費などの個人単位の経費の見積もりにあたる第1類費は、生活保護を受給する世帯に属する人の年齢をもとに、世帯としての基準額①の合計、基準額②の合計をそれぞれ求めます。
年齢区分 | 生活扶助基準(第1類費)(個人的経費) | |
---|---|---|
基準額① | 基準額② | |
0歳~2歳 | 20,540円 | 25,520円 |
3歳~5歳 | 25,890円 | 28,690円 |
6歳~11歳 | 33,480円 | 32,920円 |
12歳~19歳 | 41,360円 | 37,500円 |
20歳~40歳 | 39,580円 | 36,790円 |
41歳~59歳 | 37,520円 | 37,670円 |
60歳~69歳 | 35,480円 | 37,320円 |
70歳~ | 32,020円 | 32,380円 |
世帯の人数に応じた逓減率を、第1類費の基準額①の合計、基準額②の合計にそれぞれ乗じます。
世帯の人数が多ければ、効率的にお金を使う生活ができるため、その分だけ基準額を減額する趣旨です。
世帯人数 | 逓減率① | 逓減率② |
---|---|---|
1人 | 1.0000 | 1.0000 |
2人 | 1.0000 | 0.8850 |
3人 | 1.0000 | 0.8350 |
4人 | 0.9500 | 0.7675 |
5人 | 0.9000 | 0.7140 |
第2類費は、電気、ガス、水道などの光熱費や家具、食器の費用などといった、世帯単位で支出される経費です。
このため、第1類費とは逆に、世帯人数に応じてその額が増加するようになっています。
逓減率を乗じた後の第1類費の合計に、この第2類費をプラスします。
なお、地域によって冬場の寒さが違い、暖房費の需要も違うということに配慮して、冬季(10月又は11月~3月又は4月)には地域別(全国Ⅰ地域~Ⅵ地域の6区分)の冬季加算が別途加算されます。
世帯人数 | 生活扶助基準(第2類費)(世帯共通的経費) | |
---|---|---|
基準額① | 基準額② | |
1人 | 42,680円 | 39,050円 |
2人 | 47,240円 | 48,030円 |
3人 | 52,370円 | 56,630円 |
4人 | 54,210円 | 58,970円 |
5人 | 54,660円 | 62,880円 |
以上によって得られた「第1類費・第2類費①」の合計に3分の0を乗じ、「第1類費・第2類費②」の合計に3分の3を乗じて、両者をプラスしたものが生活扶助基準となります。
ただし、「第1類費・第2類費②」が「第1類費・第2類費①」×0.9よりも少ない場合は、「第1類費・第2類費①×0.9」と読み替えることになっています。
加算制度
さらに、特別の需要のある人が必要とする生活費としての加算制度があり、第1類費、第2類費のほかに、次のように一定額を上積みすることができます。
ただし、「障害者加算」と「母子世帯加算」のように併給できないものもあります。
- 介護施設入所者加算
- 介護施設に入所している人の教養・娯楽などの特別な需要に対応
教育扶助
小学校、中学校に通う児童生徒が義務教育を受ける場合の扶助として、月額によって次の表のような基準額にもとづく支給があるほか、学級費、教材費、給食費、交通費などが別途支給されます。
なお、高等学校については義務教育ではないため、「生業扶助」と呼ばれる別のグループの扶助での対応となります。
教育扶助基準 | ||
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区分 | 内容 | 基準額 |
基準額 | 学用品:鉛筆、ノート、消しゴム、体育用靴、笛、裁縫道具、書道用具など その他の教育費:遠足、社会見学等の校外活動費及び通学用靴、上履き等の通学用品購入費 | 小学校:2,210円 中学校:4,290円 |
特別基準 (学級費等) | 学級費、児童会又は生徒会費及びPTA会費等 | 小学校:670円以内 中学校:750円以内 |
学習支援費 | 学習参考書(教材代を除く)購入費、課外クラブ活動費 | 小学校:2,630円 中学校:4,450円 |
教材代・学校給食費・校外活動参加費・通学交通費 | 副読本、ワークブック、辞書等の購入費、校外活動のための宿泊費や施設利用料、通学に必要な最小限度の交通費等 | 実費支給 |
その他の扶助
これらのほかに、診療にかかった医療費の平均月額をもって基準とする「医療扶助」などのメニューごとに一定額が加算され、最終的な「最低生活費認定額」が割り出されます。
- 出産扶助
- 出産をするときの扶助。たとえば、級地問わず施設分娩であれば293,000円以内。その他入院料の実費相当の加算額や、出産予定日の急変の場合の特別基準などがある。
- 介護扶助
- 高齢者、障害者が介護サービスを受けるときの扶助。本来自己負担する部分に充当されるのでケースごとに金額は異なる。
(上記は平成30年度分に準拠していますので、年度によって金額が異なることがあります。)